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環境への取り組み
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エコプロダクツ開発物語

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 日立ハイテクの主力製品の一つであり、環境適合製品にも認定されている走査電子顕微鏡S-4800の開発の背景をエレクトロニクスシステム第一設計部主管技師佐藤貢に取材し、この製品を通じて日立ハイテクがどのように製品開発から環境保全に貢献しているか、紹介する。
 
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地道な努力でナノテクの「眼」をつくる

 
エレクトロニクスシステム第一設計部主管技師佐藤貢氏
 
エレクトロニクスシステム
第一設計部主管技師
佐藤貢
 佐藤らがS-4800の開発で最も苦労した点は、いかにして大きな試料を傷つけないで鮮明な像を得るシステムをつくるかということだった。通常、電子顕微鏡で高解像度を得るには、入射する電子ビームを高加速で試料に当て、その結果反射してくる電子や二次的に出る電子を検出してモニタースクリーン上に映す。しかし、この方法はダメージを受けやすい有機系や触媒のサンプルには使えない。高加速電子ビームが試料の表面を傷つけてしまったり、帯電させて試料から放出する電子が乱れてしまう弊害があるからだ。
 「そこで電子顕微鏡を、より低加速の電子ビームを入射する方式にすることにしました」と、佐藤。
 低加速電子ビームを使うことで試料が傷ついたり帯電することは抑えられる。しかし、その結果反射電子も低加速になり、信号として捕らえられにくくなってしまう。そこで、佐藤は低加速になった反射電子を効率よく拾えるような新しい検出システムの開発を決意した。佐藤らは低加速の反射電子を効率よく検出するために、発生した反射電子がレンズ磁極に、より多く衝突する対物レンズを設計した。反射電子が低加速であるほど、反射電子の衝突で多くの二次電子が発生する。この二次電子を拾えば反射電子を検出したのと同じである。それに加えて、大きな試料を鮮明な画像で見るための耐振動性、高真空の保持など総合的な装置改善によって目標を達成することをメンバーに告げる。メカ、電気回路、ソフト担当者計約30名が一体となって当時使える最新技術すべてを投入し、ついに低加速電子ビームでも高解像度・高画質の像が得られるようになった。
 「開発は地道な努力の積み重ねなんです。しかし、それをやるかどうかが、結局製品における差になるのだと思います」
 チーム一丸となって泥臭い努力を続けて製品化までたどり着いたのは開発スタートから1年半後で、部品の機能開発を含めると3年後のことだった。これによって従来見ることのできなかった試料を最大80万倍まで拡大できる「眼」が世の中に現れた。
 
低加速反射電子の検出用対物レンズ
 
低加速反射電子の検出用対物レンズ
 
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「見える」ことで環境保全へ

 
電子顕微鏡S-4800と開発リーダー佐藤貢氏
 
電子顕微鏡S-4800と
開発リーダー佐藤貢
 「今まで見えなかったものが見えるようになると、それに伴って新しい発想が生まれてくるんです。そういう意味で『見える』という力は非常に大きい」と佐藤は語る。
 右下の写真を見ていただきたい。これは次世代のクリーンエネルギーとして期待される燃料電池の触媒をS-4800で撮影したものだ。触媒は燃料電池の反応で最も重要な働きをする材料で、現在使われているのは多孔質の炭素と白金である。反応を効率よくさせるコツは、白金を均一に分散させることによって反応の起きる表面積を大きくすることだ。S-4800によって従来見られなかった白金の分布イメージが得られるようになった。佐藤の言うとおり、「見える」ことの意味は大きい。これによって燃料電池の研究開発において研究者たちが具体的にどのように触媒を改善していけばよいかわかりやすくなったからだ。
 そのほかにも大気汚染物質であるNOxを分解する触媒や低消費電力の液晶パネルの透明電極の評価、環境ホルモンを吸収する珪藻土の観察など、環境保全につながる研究開発において欠かせない基本ツールとして、様々な分野で活躍している。
 もちろん、S-4800はそれ自体、環境負荷を最小限にするように設計されている。電子顕微鏡に必須の真空ポンプを従来2系統使用していたのを1系統に改め、また、エコモードを搭載したことにより、消費電力を最大32%カットすることに成功した。その結果、省エネルギー性、長寿命化などの点が環境配慮設計に対する評価を受けて日立グループの環境適合製品として登録されている。
 日立ハイテクならではの最先端技術とノウハウによって誕生したS-4800。だがこれで開発が終了したわけでない。
 「装置のパフォーマンスを上げることで持続可能な社会の実現を加速するためのツールをつくり続けていきたいですね」と言う佐藤の言葉が示すように、循環型社会の実現を電子顕微鏡というミクロの視点から支えていくツールの開発を通して、環境保全に貢献する日立ハイテクと技術者佐藤らの挑戦はまだまだ続く。
燃料電池の触媒(80万倍)
 
燃料電池の触媒(80万倍)
 
測長SEM
 日立ハイテクはS-4800のほかに、同じく環境適合製品である測長SEMを製造している。半導体の形状不良を見つけ出し、最終製品の歩留まりを向上して廃棄物量を減らす重要なツールとして世界のお客様から厚い信頼を寄せられるベストセラーである。
 
 
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