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低真空走査電顕観察 「虎の巻4」

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先日、福岡で2001年度の電顕学会学術集会があり、低真空走査電顕のセッションがあった。
反射電子検出型、二次電子検出型、吸収電子検出型を使っての研究発表が揃い踏みし、会場も満員の盛況、いよいよ低真空走査電顕の時代到来を予感させた。これからどのように装置が進歩していくのか、どのような応用研究がなされるのか、低真空走査電顕から眼が離せなくなったと言ってよかろう。

余談だが、学会の合間をみて唐津市の先にある名護屋城址に行って来た。本丸址から見晴らす玄海の島々の景色は素晴らしい。「太閤が睨みし海の霞かな」の碑、文禄慶長の昔にタイムスリップした気にさせてくれる。唐津までは多くの人が行くが、ここまではあまり訪なう人がいないから、人影も少なく、静かで実に良い。帰りには、呼子、唐津で玄海の美味しい魚料理も楽しめるし、一度行かれることを薦める。

セクションタイトル試料台の選択

試料台なんて、たいした事ではないと思う人が多いかもしれないが、良いSEM写真を撮るためには、とても重要なことなのである。

一般にはアルミ製の15ミリ径ほか1,2種類の試料台が装置に付属しているが、観察する試料の方は生物、非生物、大形小形、含水物、粉体など千差万別である。だから、1,2種類の試料台で間に合うわけがない。どうしても普通の試料台で不都合な試料がある。その時は駄目だと思わずに、面倒でも手作りの試料台をつくってやるとよい。

例えば紙幣。これなどは破るわけにいかない、折り畳んでも相当な大きさだから、とても普通の試料台には載せられない。こんな時には2mm厚位のアルミ板を目的にかなう大きさに切り、これを通常試料台の上に両面テープで貼り付けてやる。この方式を使うと、試料の大きさの問題は大抵片付く。

次はカビなどのように、試料が小さくてバックが一緒に写る場合である。これには苦労された方も多いことだろう。バックが汚いと目的物の印象が全く悪くなってしまうからである。例えば、カーボンテープが画面に出ると、大小の孔ぼこが写ってみっともないし、両面テープの場合は、レデュースをかけた痕が残って、人前に出せない。一方、アルミ試料台を裸で使うと、バックが光りすぎるし、古い試料台であると、キズが写ってどうにもならない。

ではどうするかというと、試料台の表面に、バックが明るすぎもせず、暗すぎもしない、反射電子を適当に射出してくれる薄板を貼ってやればよい。材料はなにかというと、写真のフィルムである。なにも写っていないところを、試料台の大きさにハサミで切り、ヤマト糊で貼り付けてやる。そうすると、ハーフトーンのきれいなバックが得られる。もっとも、裸のアルミ試料台が面白い効果を出すこともある。「実習の図」の場合はアルミ試料台からの反射電子の射出が強いので、目的物があたかも逆光を浴びたように写っている。特別な美的効果を狙う場合には裸のアルミ試料台も捨てたものではない。

最後に便利な特殊試料台について述べてみよう。
その1は、SEM pore といわれるもので、日本電子データムから発売されている。これはプラスチックの薄膜に極微の孔をあけたものを特殊な支持台の上に載せたものである。台の下には注射器をとりつける管があり、注射器を引く事により、膜上の液体が吸い取られ、液中の微細な試料が膜に固着するようになっている。この試料台は液に浮遊した試料の観察には大変便利が良い。利用されることを薦める。ただ難点は使い捨てにするには、頗る高価なことである。
その2は、田中式ドリフト防止用試料台である。動物細胞組織や豆腐のような含水試料の場合、試料がドリフトして高倍の写真を撮りにくい。このドリフトを防止するように作られたのがこの試料台である。これを用いると、おぼろ豆腐のように水を多く含んだ試料でも2万倍位まで撮影できる。また、腸間膜のように膜状の試料は観察中に反り返って困ることがあるが、この試料台を用いると変形することなく観察できる。一方、球形でころころする試料にも適している。利用されると便利だと思う。

セクションタイトル実習: クンショウグサの実

クンショウグサの実のSEM像

正式の和名はヤエムグラという。
「八重葎しげれる宿のさびしさに人こそ見えね秋は来にけり」と百人一首にはあるけれど、春にはよく繁るが、秋には枯れてしまって見られない。
葉は茎から放射状に出ているので、これを採って衣服に付けるとマジックテープのようにくっつく、子供達が兵隊ごっこの勲章として用いたのでこの名がある。4、5月頃、図のような実をつける。これにも多くの鉤をつけている。
裸のアルミ試料台にそのまま載せたので、台からの反射電子が多く試料は逆光を浴びたような感じで写っている。こんな写し方をしてみるのも面白いのではなかろうか。もっとも、このような時には疵のない新しい試料台を用いた方が良い。

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田中SEM研究所通信は、会員制サービス「Semevolution」より抜粋しております。


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